ヘアカラーは「何を使うか」ではなく、「どう使い分けるか」が大切です。
40代を過ぎると、ヘアカラーとの付き合い方は少しずつ変わってきます。
若い頃は、「明るくしたい」「流行の色にしたい」という気持ちが中心だったかもしれません。
しかし年齢を重ねるにつれて、
「白髪が気になる。」
「髪にツヤがなくなってきた。」
「以前よりボリュームが出なくなった。」
「髪が細くなり、乾燥しやすくなった。」
そんな変化を感じる方が増えてきます。
だからこそ、大人世代のヘアカラーは「色を変える技術」だけではありません。
これから先も、美しい髪を育てながらカラーを楽しむための技術だと私は考えています。
カラー剤に「良い・悪い」はありません。
美容室にはさまざまな種類のカラー剤があります。
代表的なものを挙げると、
・アルカリカラー
・ノンアルカリカラー
・酸性カラー(ヘアマニキュア)
・香草カラー
・ヘナカラー
それぞれ特徴があり、得意なことも違います。
アルカリカラーは、黒髪を明るくしながら色を入れることができます。
ノンアルカリカラーは、すでに明るくなっている髪へ色味を補うことが得意です。
酸性カラーは髪の表面付近を染めるため、髪を明るくすることはできませんが、負担を抑えながら色味を整えやすい特徴があります。
香草カラーやヘナカラーも、それぞれ異なる特徴を持っています。
ここで大切なのは、
「どれが一番良いカラー剤なのか。」
ではありません。
本当に大切なのは、
「今の髪には何が必要なのか。」
ということです。
同じ人の髪でも、すべて同じ状態ではありません。
例えば、2〜3か月ぶりにカラーをされるお客様。
髪を見てみると、
根元には新しく伸びた黒髪。
中間には前回染めた髪。
毛先には色が抜けて明るくなった髪。
さらに、毛先はドライヤーや紫外線、毎日の摩擦による影響も受けています。
つまり、一人のお客様の髪の中にも、さまざまな状態が存在しています。
それなのに、髪全体へ同じ薬剤を塗るとどうなるでしょうか。
根元にはちょうど良い反応でも、
すでにカラー履歴がある毛先には必要以上の負担をかけてしまうことがあります。
私は、この「必要のない負担」をできるだけ減らしたいと考えています。
必要なところだけに、必要な力を使う。
例えば、
黒く伸びた根元にはアルカリカラー。
色が抜けただけの毛先にはノンアルカリカラー。
白髪をカバーしながら負担を抑えたい部分には酸性カラーを選択することもあります。
場合によっては香草カラーやヘナカラーが適していることもあります。
つまり、一回の施術でも、髪の状態によって薬剤を使い分けることがあります。
これは特別なことではありません。
髪の状態が違えば、必要な力も違うからです。
強い薬剤を全体へ使うより、
必要な場所へ、必要な力だけを届ける。
その方が、髪は長く美しさを保ちやすくなります。
大人世代のカラーは、「今日」だけでは終わりません。
私はカラーをするとき、その日の仕上がりだけを見ていません。
もちろん、今日きれいに染まることは大切です。
でも、それと同じくらい、
一か月後。
三か月後。
半年後。
一年後。
その髪がどうなっているかを考えています。
毎回少しずつ強い薬剤を使い続ければ、その日はきれいに見えるかもしれません。
しかし、その積み重ねは、少しずつ髪の体力を奪っていきます。
髪は一度大きくダメージを受けると、完全に元の状態へ戻すことはできません。
だから私は、
「傷んだから補修する。」
よりも、
「できるだけ傷ませない。」
という考え方を大切にしています。
改善美容から、予防美容へ。
美容には、「改善」という考え方があります。
髪が傷んだからトリートメントをする。
乾燥したから保湿する。
もちろん、それも大切です。
でも私は、それだけでは少し遅いと思っています。
本当に大切なのは、
傷まないように施術を積み重ねること。
未来の髪を見据えて、今日のカラーを考えることです。
だからカラー剤を選ぶときも、
「よく染まる薬剤」ではなく、
「この髪には、どんな反応が必要なのか。」
そこから考えます。
ヘアカラーは、薬剤を選ぶことが目的ではありません。
これから先も、美しい髪でカラーを楽しめるようにすること。
そのための手段として、カラー剤を選んでいます。
私は、それが大人世代のヘアカラーに一番大切な考え方だと思っています。
ヘアカラーは「染めること」が目的ではありません。髪を守りながら、美しさを育てていくための技術です。
ヘアカラーは「何を使うか」ではなく、「どう使い分けるか」が大切だというお話をしました。
では、なぜ使い分ける必要があるのでしょうか。
その理由は、とてもシンプルです。
髪は、一度カラーをすると、もう元の髪ではなくなるからです。
同じ一本の髪でも、
根元は新しく生えてきた健康な髪。
中間は何度かカラーを繰り返した髪。
毛先は紫外線やドライヤー、毎日の摩擦を受けながら、何年も一緒に過ごしてきた髪。
すべて同じように見えても、実際にはまったく違う状態になっています。
だから私は、髪全体を一つの状態として考えません。
一本の髪の中にも、それぞれ違う体力がある。
その考え方から施術を組み立てています。
髪は「色が入る」だけではありません。
ヘアカラーというと、多くの方は「色が変わること」をイメージされます。
もちろん、それは間違いではありません。
でも実際には、髪の中ではもっとたくさんの変化が起きています。
カラー剤は髪の中へ入り、色を作るだけではなく、髪の内部環境にも少なからず影響を与えます。
必要以上に繰り返せば、
髪のうるおいを保つ力が弱くなったり、
指通りが変わったり、
乾燥しやすくなったりすることもあります。
だから私は、
「色が入れば成功」
とは考えていません。
大切なのは、
髪の体力をできるだけ残しながら、目的の色をつくること。
そのために薬剤を使っています。
強い薬剤が悪いわけではありません。
ここで誤解していただきたくないことがあります。
アルカリカラーは悪いものではありません。
黒髪を明るくしたい。
白髪をしっかり染めたい。
透明感のある色を楽しみたい。
そんな時には、アルカリカラーの力が必要です。
問題なのは、
必要以上に使ってしまうこと。
例えば、すでに明るくなっている毛先。
そこに毎回同じ強さのアルカリカラーを重ねる必要はあるでしょうか。
色味だけを整えたいのであれば、
もっと髪への負担を抑えられる方法があるかもしれません。
だから私は、
アルカリカラーを使わないのではなく、
必要なところだけに使う。
という考え方を大切にしています。
必要最低限の反応で、美しい色をつくる。
私は施術をするとき、
「どれだけ反応させるか」
ではなく、
「どれだけ少ない反応で目的を達成できるか」
を考えています。
髪は反応すればするほど良いわけではありません。
必要以上の反応は、必要以上の負担につながります。
だからまずは、
髪が薬剤を受け入れやすい状態を整える。
乾燥している部分。
ダメージがある部分。
薬剤が入りやすい部分。
入りにくい部分。
そうした違いを見極めながら、髪全体ができるだけ均一に反応できる状態をつくります。
私はこれを、
「反応する場を整える」
という考え方で施術しています。
薬剤を強くするのではありません。
髪が無理なく反応できる環境をつくること。
その結果として、必要最低限の反応でも、美しい仕上がりへ近づけると考えています。
前処理や後処理にも理由があります。
カラーの前後には、さまざまな処理を行うことがあります。
「トリートメントですよね?」
と言われることがありますが、私の考え方は少し違います。
もちろん手触りを良くすることも大切です。
でも、それだけが目的ではありません。
薬剤が均一に働きやすい環境を整えること。
髪に必要以上の負担を残さないこと。
施術後も髪が扱いやすい状態を保つこと。
そのために前処理や後処理を行っています。
つまり、
髪をきれいに見せるためではなく、髪をきれいな状態で育てていくための工程なのです。
頭皮も、未来の髪の一部です。
私は髪だけではなく、頭皮も大切に考えています。
必要に応じてゼロテクという技術を使い、カラー剤を頭皮にできるだけ付けずに塗布することがあります。
頭皮への刺激を抑えること。
余計な負担を減らすこと。
こうした積み重ねも、未来の髪を考える上ではとても大切です。
髪は頭皮から生まれます。
だから、美しい髪を育てたいなら、頭皮環境にも目を向ける必要があります。
「染める技術」から、「育てる技術」へ。
昔は、
「しっかり染まること。」
それがカラーの価値だったかもしれません。
でも私は、それだけでは足りないと思っています。
今日きれいに染まること。
その髪が一年後も美しくいられること。
その両方を考えて施術することが、大人世代には必要です。
だから私は、
毎回同じ薬剤を使うことも、
毎回同じ染め方をすることもありません。
その日の髪を見て、
その日の髪に必要な方法を選びます。
髪は、一人ひとり違います。
だから施術も、一人ひとり違います。
それが、本当のオーダーメイドのヘアカラーだと私は考えています。
ヘアカラーは「未来の髪」への投資です。
カラー剤は「何を使うか」ではなく「どう使い分けるか」が大切だということ。
髪の状態を見極め、反応場を整え、必要最低限の反応で染めるという私の考え方をお伝えしました。
最後にお伝えしたいのは、大人世代のヘアカラーは「今日きれいになるため」だけのものではないということです。
カラーは、一度では終わりません。
40代を過ぎると、多くの方が定期的にヘアカラーを続けます。
1か月半に一度。
2か月に一度。
一年で6〜10回。
10年続ければ、60〜100回近くカラーをすることになります。
一回の施術だけを見れば、小さな負担かもしれません。
しかし、その小さな積み重ねが、数年後の髪の質感や扱いやすさに大きな違いを生みます。
だから私は、毎回の施術を「点」ではなく「線」で考えています。
改善美容から、予防美容へ。
髪が傷んでから補修する。
広がってから整える。
細くなってから対策を始める。
もちろん、それも大切です。
でも私が目指しているのは、その一歩手前です。
できるだけ傷ませない。
できるだけ乾燥させない。
できるだけ負担を積み重ねない。
つまり、
改善美容ではなく、予防美容。
トラブルが起きてから直すのではなく、トラブルが起きにくい状態を育てていく。
その考え方で、毎回のヘアカラーを組み立てています。
「必要最低限の反応」という考え方。
美容室では、
「しっかり染めましょう。」
という言葉を耳にすることがあります。
もちろん必要な場合はあります。
しかし、私は反応が強ければ良いとは考えていません。
髪は反応すればするほど髪の体力を使います。
だからこそ、
必要な反応だけを、必要な場所へ。
そのために、
根元と毛先で薬剤を変える。
アルカリカラーだけに頼らない。
ノンアルカリカラーや酸性カラー、香草カラー、ヘナカラーなども選択肢に入れる。
前処理や後処理で反応しやすい環境を整える。
頭皮への負担を考え、ゼロテクを取り入れる。
こうした一つひとつの積み重ねが、髪の未来を変えていくと考えています。
ヘアカラーは「引き算」の技術でもあります。
美容は、何かを足すことばかりではありません。
薬剤を強くする。
色を濃くする。
トリートメントを増やす。
それだけでは、本当に美しい髪にはつながらないことがあります。
私が大切にしているのは、
「何を足すか」より、「何を減らせるか」。
必要のないアルカリを減らす。
必要のない酸化を減らす。
必要のない負担を減らす。
必要のないダメージを積み重ねない。
その引き算が、結果として自然なツヤや柔らかさにつながると考えています。
10年後の髪は、今日の積み重ねで決まります。
大人世代の髪は、若い頃のように自然と元へ戻るわけではありません。
だからこそ、一回一回の施術がとても大切になります。
今日だけきれいならいい。
そう考えるのではなく、
一年後も。
五年後も。
十年後も。
鏡を見るたびに、自分の髪が好きでいられること。
私は、そのためにヘアカラーをしています。
あなたの髪に、本当に必要なことだけを。
ヘアカラーには、たくさんの種類があります。
アルカリカラー。
ノンアルカリカラー。
酸性カラー(ヘアマニキュア)。
香草カラー。
ヘナカラー。
それぞれに得意なことがあり、それぞれに役割があります。
だから私は、「このカラーが一番良い」とは言いません。
髪質も、白髪の量も、ライフスタイルも、理想も、一人ひとり違うからです。
その日に必要なものを選び、必要な場所に、必要な力だけを使う。
それが、私のヘアカラーです。
最後に
美しい髪とは、薬剤で無理につくるものではなく、日々の積み重ねの中で育っていくものだと思っています。
私は、髪を傷めないことだけを目指しているわけではありません。
その方が一年後、五年後、十年後も、自分の髪に自信を持ち、年齢を重ねることを楽しめるように。
そのために、必要なものだけで髪を美しく導く。
それが、私が考える大人世代のヘアカラーであり、未来の髪まで見据えた美容です。